Profile
2013年、株式会社クリエイト・レストランツへ入社。ビュッフェ業態を中心に調理長(店長兼任)を経て、2022年に商品開発チームへ。イタリアンやビュッフェ業態のメニュー開発を担当する。フットサルが趣味で、子供と一緒にサッカーイベントに参加することも。将来は、クルーズ船のコックとして世界一周するのが夢。
身についたのは、大企業ならではの意外なスキル
株式会社クリエイト・レストランツに入社する前、私はイタリアン、フレンチ、ゲストハウス(結婚式場)などで、料理人としての経験を積んできました。いずれも、飲食業界にありがちな厳しい労働環境だったため、生活を見直すために転職を決意したところ、クリエイト・レストランツで働いていた知人から誘われたのが応募のきっかけです。安定した大企業で、労務環境が良い点を非常に魅力的に感じました。
入社前は、料理人として働いてきた自分が“会社員”になれるのかという不安はありましたが、当初は店舗のキッチンに入っていたこともあり、すぐに慣れることができました。むしろ、PCを使えなかった自分がメールどころか資料作成までできるようになったのは、大きなスキルアップと言えるかもしれません。
10年ほど店舗で働いた後、商品開発チームへ異動となりました。現在は、新店のメニューや季節毎のメニューの開発を中心に、食材の値上げ時などに代替食材を探し、その食材に合わせてレシピを修正したうえで現場に変更点を伝えるといった、原価管理の上で重要な役割を任されることもあります。
全てのお客様に同じ料理を味わっていただくために
私の担当は、ビュッフェ、イタリアン、中華の3つの業態です。季節メニューは四半期ごとに入れ替えますが、メニューの試作、レシピや盛り付け方の現場への伝達に加えて、商品写真の撮影も担当します。実際に撮影するのは、ロゴやメニューのデザインなどを担当する制作企画チーム(株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングス)の皆さんなのですが、デザインセンスのある方たちに盛り付け(見た目)のアドバイスがもらえる環境は非常にありがたいです。
商品開発において私が最も大事にしているのは、再現性があるメニューの開発です。店舗ごと、調理するスタッフごとに味や盛り付けが変わらないようなレシピを作るように、常に心掛けています。
元々、“自分は料理人だ”というプライドがあり職人気質なところがあったのですが、現在の部署に異動してからは、感覚に頼ることをやめて、電卓と計量スケールを常にそばに置くようになりました。現場では“ひとつまみ”と言っていたところを、“○グラム”のように具体的な数字でレシピに落とし込んでいるんです。
もちろん、完全にレシピ化するのが難しいこともあります。例えば、パスタを一人前作るのと、数人分を同時に作るのではお湯の量も違いますし、ゆで時間も微調整が必要です。包丁さばき(技術)も、調理師専門学校を卒業したてのスタッフと経験を積んだスタッフでは全く異なります。
こういったレシピでは表現しきれない違いを、どうやって埋めていくのかが今後の課題です。全てのお客様に同じクオリティの料理を提供するためにも、現場に立つスタッフにはたくさん経験を積んで早く慣れてもらいたいと思っています。
現場では味わえない苦労の末の達成感
通常、新店舗のオープンには半年ほどの準備期間を設けるのですが、2025年の春に、異例の3ヶ月連続で新店舗のオープンに立ち会うことになりました。オープン日の1~2週間前から現地でスタッフに調理方法や盛り付けを伝え、オープン後も数日間は様子を見るためにオペレーションに入り、一段落したらすぐに次の店へ向かうという忙しさでした。
オープン前のトレーニングと実際にお客様が入ってからのオペレーションは全く別物です。事前にできることは限られるので、店舗の状況やスタッフの様子を見て、「ここまでは妥協しないぞ」というポイントを自分の中で決めてトレーニングするようにしています。
3店舗すべてが無事にオープンした時は嬉しかったですし、実際に私がオペレーションに入って見えた範囲では、お客様にも満足いただけていたようなので、自信にも繋がりました。
最近では、商品開発チームが定期的に店舗を回る取り組みを始めました。店舗の皆さんが調理するうえで困っていることや、お客様の反応などをヒアリングしつつ、調理工程や盛り付けが正しい状態になっているかを確認することで、より質の高い商品を提供することを目指しています。
商品開発の最大の目標は“お客様にとって商品価値のあるメニュー”を提供することです。この部署にあこがれる人も多いと思いますが、実際は、常に試行錯誤でダメ出しをされ続ける、想像以上に苦労が多い部署だったりします。
予算に関係なく良い食材や珍しい食材を使えば、自分の思い描く美味しいものは作れます。しかし、私たちに求められるのは、基準の範囲内で食材をやりくりしながら新たな商品を生み出すことです。商品開発チームのみんなに試食してもらい、レシピを修正して、また試食して……を日々繰り返します。やっとの思いで納得のクオリティが出せたら、事業部長の試食となりますが、そこでも意見をもらって、修正して、を再び繰り返し……スムーズに商品化まで漕ぎ着けることはまずありません。その分、OKが出た時の達成感は大きいですね。
柔軟な考え方と対応力が自分を成長させる
実は、私の一番の得意分野は、この会社には無いフレンチなんです。見た目にも華やかなアミューズを仕立てるのが好きなので、今までにない“アミューズ専門店”みたいな業態をいつか作れたらいいですね。
もともと料理がしたくてこの業界にいますし、商品開発チームはスタッフ全員が並列の関係性だということもあって、あまりキャリアについては考えてこなかったのですが、最近は、チームリーダーとしてチームをまとめる役割を担えるようになりたいと思い始めました。自身も成長できますし、何より給与もアップしますから(笑)。
クリエイト・レストランツグループのマルチブランドという戦略や、常に新しい目線で考える力というのは、グループで働く人にとって大きな魅力だと思います。私が衝撃を受けたのは、クリエイト・ダイニングが運営している「AWkitchen」を知った時でした。飲食店で “野菜”が主役になるという考え方が自分にはなかったので、野菜に焦点を当てて成功しているブランドがあるという事実は、新たな視点に気付く良いきっかけになりました。
キッチンや商品開発の仕事をする上で、まず求められるのは調理技術です。しかし、より大事なのは“様々なリクエストに応えられる対応能力”だというのが私の考えです。過去の経験に囚われず、凝り固まった思考を捨てて柔軟性を持つことができる人が、良い評価をもらい、キャリアアップしていける。そんなところに魅力を感じられる人と一緒に働いていけたら嬉しいです。